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歩く、歩く、とにかく歩く。

入れ歯を飛ばしながら怒ってたおじちゃん。
忘れられない利用者様のひとり。
夕方になると「帰るんだ」と大騒ぎ!
とにかく一緒に外に出て、田舎の山道を街に向かって歩く、歩く。
足は丈夫でなかなかへこたれない。
役場職員だったから、道端で会う人会う人みんな声を掛けて来る。
老健だったから、個人情報の守秘義務なんてあったもんじゃない。
歩きながら会話する。
「午前中話していた方は知り合いなんですよね?」
「なに?俺はそんなの知らねえ!」
たった数時間前のことが記憶に無い。
でも、歩きながら「ここは俺の同級生が住んでいるんだ。」
「ここも誰々の住んでいる家なんだ。」
と昔の記憶は鮮明に覚えているから不思議だ。

そうこうしてるうちに1キロ以上歩いてしまった。
前回は、疲れた顔したところを見計らって、プライドを傷つけないようにこちらから弱音を吐いた真似をして、「明日バスが出るんで(施設に)戻りましょうか。」と声掛けすると「そうだな」と言いながら回れ右で戻ったのに。
すると地区の集会場に通りかかった。
そこでは地区のボランティアのおばちゃん達が集まって、踊りか何かの講習会をやっていた。
ここでも利用者様は顔見知りの方達ばかり。
「寄ってってくださいよ!」と声を掛けられ、しばらく話に花が咲く。
あ~返れね~・・・と思っていた矢先、偶然にも施設に掃除に来てるおばちゃんが車で通りかかる。
「おばちゃん施設まで乗っけてって~」と頼み込み無事帰還!

その後も職員交替で、午後の帰宅願望が出るたびに一緒に外へ歩いた。
答えは出なくても、とにかく歩いた。
とにかくやってみる、振り回されるのも必要なのかな。
Commented by kawamuko at 2013-01-04 19:45
1キロ以上も、大変でしたね!
答えは出なくても歩く。
とにかくやってみる、振り回されるのも必要・・・
なんだかとっても深く感じる言葉です。
by johgo-009 | 2013-01-03 19:54 | 泣き虫ケアワーカー | Comments(1)

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